IPA(情報処理推進機構)が公開している「情報セキュリティ10大脅威 2023年」から、個人の脅威トップ5に注目してみました。
- フィッシング詐欺
- ネット上の誹謗・中傷・デマ
- メールやSMS等を使った脅迫・詐欺
- クレジットカード情報の不正利用
- スマホ決済の不正利用
- 脅威トップ5の過去の順位は?
- 実際の被害ってどうなの?
「デジタルに疎い・苦手だけど、いまどきのセキュリティが気になる」といった方は、ぜひ参考にしてみてください。
個人のセキュリティ脅威トップ5|過去順位一覧
まずは過去順位の一覧から。
一覧では順位の推移がわかりにくいので、図にしてみました。
個人のセキュリティ脅威トップ5|過去順位の推移図
この結果をふまえ、総評していきます。
個人のセキュリティ脅威トップ5の総評
脅威の傾向として、主に2つに分類化されることがわかりました。
1. バリエーション豊かな金銭搾取の横行
デジタル的に金銭を巻き上げられる行為です。手を変え・品を変え、5年以上も苦しめられ続けている状況がわかります。
2. ネット上の誹謗・中傷・デマが深刻化
2020年初から、コロナ禍により情報収集・コミュニケーションのデジタル化が進む一方、規制するルールや取り扱うリテラシーが追いついていない実態を表しています。
「匿名性の高さ」また「拡散性の速さ」といった、ネット社会特有の構造的な問題も背景に潜んでいます。
個人のセキュリティ脅威トップ5「実際の被害は?」
セキュリティの脅威を世に認知、浸透させるための「順位付け」というアプローチは理解できます。
しかしながら、脅威ランキングの変動で「脅威が増えた、減った」と誤って認識されるリスクも否めません。
そこで、実際の被害は?本当に脅かされているの?についてもまとめてみましたので、以下解説していきます。
フィッシング詐欺関連(2023年の脅威1位&3位)被害状況
フィッシング対策協議会が公開している「フィッシング報告状況」の統計と、脅威の順位をまとめた結果です。
脅威3位の「メールやSMS等を使った脅迫・詐欺」に関する公開情報を調べた結果、フィッシング被害に関する情報しか出てこなかったので、同じ図にまとめています。
なお参考まで、1位と3位との複合技「SMSのリンクから偽のWebサイトへ誘導する」実際の手口をご覧ください。
ネット上の誹謗・中傷・デマ(2023年の脅威2位)被害状況
セーファーインターネット協会が公開している「誹謗中傷ホットライン」の統計情報と、脅威の順位をまとめた結果です。
誹謗中傷ホットラインに寄せられた件数だけでも、増加する一方であることは読み取れます。
被害件数の増加率ではなく、「悪質さ・卑劣さ」また、事件に発展したときの「重大性」も熟考しての脅威2位という位置づけなのでしょう。
クレジットカード情報の不正利用(2023年の脅威4位)被害状況
日本クレジット協会が公開している「クレジットカード不正利用被害額の発生状況」統計情報と、脅威の順位をまとめた結果です。
脅威の順位はランクダウンしているものの、被害額は増える一方です。
この理由として考えられるのは、「他の脅威の方がより脅威」ということでしょう。決して "被害が沈静化しているわけではない" という事実を知っておきましょう。
スマホ決済の不正利用(2023年の脅威5位)被害状況
この脅威だけに注目した、参考になりそうな年別の統計情報は見つかりませんでしたが、類推される脅威としては上述の下記が該当します。
補足:次にくる脅威の予想
具体的には、Webサイトやアプリに表示される質の低い広告からの「ロマンス詐欺」「著名人なりすまし投資詐欺」など、新たにノミネートが予想される脅威です。
さいごに
情報セキュリティ10大脅威 2023「個人トップ5」順位、被害状況のまとめでした。
コロナウイルスの影響でさまざまなものがオンライン化され、便利になる一方、デジタルを取り扱うリスクもより身近に迫っているという結果でした。
いくら法律やサービス側でルールを設けても、すべての脅威から守ることはできません。これはデジタルには必ず穴(脆弱性)があるという、セキュリティ業界での通説です。
自身や家族を守るためにも、常に新しい脅威の動向をチェックするようにしましょう。