セキュリティアプリ「ウイルスバスタークラウド」の安全性、危険性が気になる方向け、情報セキュリティ資格を有するIT管理プロがわかりやすく解説していきます。
トレンドマイクロの基本情報
会社名 | トレンドマイクロ |
設立 | 1989年 |
所在地 | 東京都渋谷区 |
事業内容 | コンピュータ及びインターネット用セキュリティ関連製品・サービスの開発・販売 |
トレンドマイクロはどこの国の会社?
トレンドマイクロは東京都渋谷区に本社を置く日本の会社です。
トレンドマイクロの安全性を評価した結果
【評価結果】トレンドマイクロは「防御力は高いが、可用性に不安があり、個人情報も心配がある」という結果でした。
この理由に至る、評価した3つのポイントです。
- 第三者テストで高い防御力を実証
- 誤検知も多く、可用性に難あり
- 個人情報のリスクが4つある
以下順に説明していきます。
1. 第三者テストによる脅威ブロック率は100%
トレンドマイクロ製品は、「どれだけ脅威をブロックできるのか?」第三者セキュリティ評価機関がテストした結果です。

- ①新たな脅威に対する防御
- ②流行っている脅威に対する防御
- ③100%、防げているという結果
2. 誤り検知も多く、可用性に難あり
防御力が高い一方、「誤ってブロックする割合も多い」という結果になっています。

補足しますと、他社セキュリティアプリのFalse Positives(誤り検知)平均スコア「9」と比較した場合、トレンドマイクロは「39」とわりと多い傾向です。
誤り検知によるトラブルの最たる例としては、2022年5月の「Microsoft Edgeブラウザーを誤検知し、OSのシステム構成ファイルを勝手に変えてしまう」が該当します(現在は修正済み)。
この結果からもトレンドマイクロは "堅牢性"、つまり「疑わしきは通さない」といった明確な方針を感じます。
ただし「ブロック強すぎて使えねー」では意味がありません。
そのため公式サイトでは、誤りブロックの解消法の説明また、問い合わせ専用フォームを設けており、ユーザーから報告あれぼ迅速に対処するような流れになっています。
危険ではないはずのソフトウェア/アプリケーションやWebサイトが「危険」と判定される
3. トレンドマイクロには個人情報リスクが④つある
- 内部不正による情報漏えい
- ハッキングの事例がある
- 許可なくユーザー情報を取得していた
- 個人情報の取り扱い場所と共有相手
以下順に説明していきます。
①内部不正による情報流出(2019年11月)
元スタッフが情報を不正に持ち出して売りさばいていたという、信じられない情報漏えいの事例がありました。
被害としては、海外の個人向け製品を利用する一部顧客情報で、日本の顧客情報は流出しなかったと報じられています。
②ハッキングの事例がある(2019年5月)
ロシア系ハッカー集団「Fxmsp」に不正侵入されたという事例があります。
なおハッキングに関して、トレンドマイクロが発表した情報です。
引用元:一部SNSや報道に関して | トレンドマイクロ
- ハッキングされたのは事実
- 盗まれたのはテストデータのみ
- 個人情報は盗まれていない
- 中国拠点は攻撃されていない
③アプリがユーザーの許可なく情報収集していた(2018年9月)
ユーザーにプライバシー情報へのアクセス許可を確認せず、Webの閲覧履歴を収集していたことが発覚しました。
Apple社のApp Storeでアプリが公開停止される事態にまで発展しましたが、2018年12月に修正版が再公開されたことで問題が解決しました。
【App Store上の当社アプリに関する重要なお知らせ】トレンドマイクロ (trendmicro.com)
④個人情報を取り扱う場所と共有相手
トレンドマイクロ公式の「プライバシー」を要約した内容です。
取得される可能性のある個人情報の種類
トレンドマイクロ製品を使った際、トレンドマイクロに取得される可能性のある個人情報の一覧です。
個人情報の種別 | 個人情報の例 |
---|---|
アカウントデータ | 氏名、生年月日、性別、住所、メールアドレス、電話番号、パスワードなど |
コミュニケーション | チャット、SNSなどのメッセージ(添付ファイル含む) |
Webコンテンツ | 閲覧、投稿、Cookie、その他Webに入力した情報など |
製品データ | デバイス情報、分析情報、位置情報、ネットワークトラフィックなど |
次に、取得した個人情報を「どこで・誰が取り扱うのか?」を順に説明していきます。
取得した個人情報は「海外でも取り扱う」
トレンドマイクロはセキュリティ事業を展開しています。そのため、日本国外で個人情報が取り扱われることもあります。
取得した個人情報を「共有利用する相手」
取得した個人情報を「共有利用する相手」として示されている範囲です。
- 海外の関係会社
- サポート業務委託先
- Webサイトのシステム運用保守委託先
トレンドマイクロが個人情報を共有する理由は以下の3つです。
- 製品の改善とセキュリティ向上のため
- 製品やサービスに関する情報提供
- システム運用保守のため
トレンドマイクロは、製品やサービスの提供・改善、セキュリティ情報の提供、マーケティング活動などの目的で、個人情報を収集しています。
個人情報の取得を拒否することもできますが、その場合は製品やサービスで一部の機能が制限される可能性があります。
トレンドマイクロの安全性まとめ
トレンドマイクロの安全性について、情報セキュリティ3つのポイントで評価した結果です。
- 第三者テストで高い防御力を実証
- 誤検知も多く、可用性に難あり
- 個人情報のリスクが4つある
トレンドマイクロのセキュリティソフトは、防御力は業界トップクラスですが、誤検知やユーザーの負担が課題です。
また、2018年から2019年にかけて、個人情報リスクが立て続けに発生しました。現在は収束済みですが、このような事態はやはり気になるところですね。
なお個人情報の取り扱いリスクについては、他セキュリティソフトも同様です。
セキュリティソフトを選ぶ際には、こうしたリスクについても考慮した上で、安全性の高いものを選ぶようにしましょう。
他のセキュリティソフトの安全性は?
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より確実に、安定した安全性を確保したい方は、ぜひ参考にしてみてください。