2022年8月9日、1Password の最新バージョン「1Password 8」がリリースされました。
1Password 8 は、従来の1Passwordとはまったくの別アプリです。
そのため、iPhoneにApp Storeから「1Password 8」をインストールすると、下図のように1Passwordアイコンが2つ出現します。
ですが、従来の1Passwordアプリ(以下「1Password 7」と表記します)を削除して、すぐに1Password 8へ切り替えるのはちょっとお待ちください。
なぜなら、
使えなくなった6つの機能の、
影響が大きいからです。
では実際、どのような場面で支障が生じるのか?以下順に解説していきます。
1. 日本語検索できない
例えば、1Passwordにクレジットカードとして「○○カード」「△△カード」を登録していたとします。
従来だと、検索ボックスに「カード」と入力すれば「○○カード」「△△カード」検索結果に表示されていました。
しかし1Password 8からは、「カード」と検索しても「○○カード」「△△カード」いずれも検索できない仕様となってしまいました。
また「検索」機能は以下の仕様変更もあり、かなり使いづらくなっています。
バージョン | 検索の仕様 |
---|---|
従来バージョン | 「お気に入り」「カテゴリー」「タグ」など、どこからでも検索できた |
1Password 8 | 「検索」からしか検索できなくなった |
2. スタンドアロン保管庫が廃止
1Password 7では、保管庫を「iCloud」または「Dropbox」といったクラウドストレージに格納する「スタンドアロン保管庫」という機能が備わっていました。
ずっと1Passwordを無料で使い続けることができた裏技的な機能ですが、1Password 8で廃止されています。
そのため、今後1Passwordを使い続けるには、「有料版へ切り替える」しかありません。
3. Apple Watch連携の廃止
iPhoneの1Passwordアプリから、Apple Watchへパスワードを追加できた機能です。
Apple WatchとiPhoneの1Passwordアプリが連携できなくなりました(iPhone SE2および、iPhone XRで確認)。
そのため今後、Apple Watchと連携して1Passwordに登録したパスワードを追加するには、次のようなiOSデバイスが必要になりま
公式「1Password Spport」より引用
- iMac Pro (2017 and newer)
- iMac (27-inch 2020 and newer)
- MacBook Pro with Touch Bar (2016 and newer)
- MacBook Pro (2018 and newer)
- MacBook Air (2018 and newer)
- Mac mini (2018 and newer)
- Mac Pro (2019 and newer)
- Mac Studio
4. 1Passwordブラウザ機能の廃止
1Passwordアプリ内、安全なブラウジングを実現していたiOS限定の機能でした。
これからは、Safariに1Passwordを追加して使う「機能拡張」設定は必須ですね。
iPhone版1Password「Safari機能拡張」設定方法と使い方をわかりやすく解説
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5. プライベートリンクが機能しない
登録したパスワードへ、ショートカットでアクセスできるリンクを取得する機能です。
このプライベートリンクをリマインダーアプリに登録しておくと、1Passwordに登録した他の情報とリンクするような管理ができるので、契約の見直しでとても活躍してくれる機能です。
ですが、1Password 8 だとショートカットアクセスが「10回やって8回は失敗する」レベルであり、正直使いものになりません。
6. パスワードを一括で選択できない
パスワードをすべて選択して、一括でコピーまたは移動させることができなくなりました。
そのため、ソースネクストで「買い切り3年版」1Passwordを購入している方は、3年目のタイミングで1Passwordの新しい保管庫へパスワードを移行する重労働が待っています。
一応、「アイテム」からパスワードを "左にスワイプ" すると、複数パスワードを選択できます。
しかし、画面表示内のパスワードしか選択できなかったり、選択にチェックが入らなかったり挙動があやしいです。
よって、「一括でパスワードを選んでの移動&コピーはできない」皆さんに説明できる品質ではないと判断しています。
数十アイテムならともかく、筆者のように登録数が200以上あるパスワードを複数に分けて移行しなければならないのは、苦行ですね。
なお本件について、「きちんと一括で移動する方法ないの?」1Passwordサポートへ問い合わせ中です。
新しい情報入り次第、追記したいと思います。
1Password 7 アプリへ戻す方法|iOS版インストール先
1Password 7を削除してしまった方は、以下リンク先から1Password 7 バージョンのアプリをインストールできます。
App Store > 1Password 7.9.9(2022年9月12日現在)
※デベロッパ情報が「AgileBits Inc.」であることを、必ず確認してください。
App Store内「1Passsword」検索してもヒットぜず、早々にApp Storeから削除される可能性がありますので、お早めのインストールをおすすめします。
さいごに
1Password 8バージョンのアプリには、主に視認性の向上を目的とした3つの機能が追加されています。
- ホーム画面がカスタマイズできる
- コレクション機能で保管庫をグループ化
- Watchtowerでリスク見える化
ですが、パスワードを使う側の "導線" を考えられている「さすが1Password!」といった真新しさは感じられませんでした。
今後、AppleやGoole、Microsoftといった大手3社は、2023年までに「パスワードのないサインイン」パスワードレス拡大を、自社のプラットフォームでサポートすることを表明しています。
つまり、
「Apple IDでログインする」
「Googleでログイン」
の普及が進み、パスワード管理が不要になることは様相を呈しています。
1Passwordのようなパスワード管理サービスは、単に「パスワードが管理できる」当たり前のことをしていてもダメだということですね。